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Betelgeuse's Diary

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もともとの『健全な肉体に健全な魂が宿る』は、『雨ニモマケズ』だった

毒舌な古代ローマ人が書いた

欲だらけだと、こんな風にろくな事がねえぞ。
丈夫な体と、
謙虚で質素で試練どんとこいな心でも願っとけお前ら。

という意味の文章が、なぜかいろいろあったあげくに

体を鍛えろ。そうすれば心も健全になるぞ。

に誤用されていったようです。
 
 

帝政ローマ期のユウェナーリスはもともと、このような詩を作っていました。
ユウェナリス第10歌 願い事はほどほどに
華やかな経歴を望む→妬まれる。例えばアレやアレ。
才能を望む→ろくな死に方をしない。例えばアレ。
名声を望む→国を滅ぼす。例えばアレ。 などと列挙したあと、
こう書いています。
↓↓↓


それでは何も神にお祈りしてはいけないのか。
もし私にひとこと言わせてもらえるなら、どんな幸福が自分自身にふさわしいか、何が自分に役立つかを決めるのは神様に任せることだ。
神様は、喜ばしいものではなく、常に最もふさわしいものを下さるだろう。
人間が自分のことを考えている以上に、神様は人間のことをよく考えて下さっている。
我々人間は一時の感情と、盲目の衝動に突き動かされて、結婚して妻と子供を持ちたくなるが、どんな女を妻とし、どんな子供が生まれてくるかは神様がご存じなのだ。

 それでも、白豚の臓物やソーセージを神殿にお供えして、何か願いごとを神様にお祈りしたいのであれば、心身ともに健康であることを祈るがよい。

↑↑↑

ここから先が、本論となります。

ラテン語部分

...orandum est ut sit mens sana in corpore sano.

fortem posce animum mortis terrore carentem,
qui spatium uitae extremum inter munera ponat
naturae, qui ferre queat quoscumque labores,
nesciat irasci, cupiat nihil et potiores
Herculis aerumnas credat saeuosque labores
et uenere et cenis et pluma Sardanapalli.

monstro quod ipse tibi possis dare; semita certe
tranquillae per uirtutem patet unica uitae.

(『風刺詩集』第10篇356-64行)



英訳 Mens sana in corpore sano


It is to be prayed that the mind be sound in a sound body.
Ask for a brave soul that lacks the fear of death,
which places the length of life ultimate among nature’s blessings,
which is able to bear whatever kind of sufferings,
does not know anger, lusts for nothing and believes
the hardships and savage labors of Hercules better than
the satisfactions, feasts, and feather bed of an Eastern king.
I will reveal what you are able to give yourself;
For certain, the one footpath of a tranquil life lies through virtue.



日本語訳(1) ユウェナリス第10歌 願い事はほどほどにより、上記の続きから。改行を追加
↓↓↓

心身ともに健康であることを祈るがよい。
死に対する恐怖から解放され、
長生きを自然の恵みのうちでも最低のものと考え、
どんな苦労にも耐え、
怒らず、
何も欲しがらず、
美食と贅沢と快楽に溺れたアッシリアの最後の王サルダナパルスよりも、人類のために厳しい苦難に耐えたヘラクレスの方が素晴らしいと思える、
健全な心を求めるがよい。
私が勧めることは、すべてだれでも自分で出来ることばかりである。
自らの行ないを正しくしさえすれば、人生を平穏に過ごす道は必ず開かれる。


※サルダナパルスはドラクロワが描くとこういう人

日本語訳(2) ユウェナリス - Wikipediaより

……強健な身体に健全な魂があるよう願うべきなのだ。

勇敢な精神を求めよ。死の恐怖を乗り越え、
天命は自然の祝福の内にあると心得て、
いかなる苦しみをも耐え忍び、
立腹を知らず、何も渇望せず、
そして、ヘラクレスに課せられた12の野蛮な試練を、
サルダナパール王の贅沢や祝宴や財産より良いと思える精神を。

私は、あなたたちが自ら得られることを示そう。必ずや
善い行いによって平穏な人生への道が開けるということを。




最後に、こうあります。
ユウェナリス第10歌 願い事はほどほどに
↓↓↓

運命の女神よ、我々に知恵さえあるなら、そなたには何の力もない。そなたを神の座に祭り上げたのは我々人間なのだから。

↑↑↑


宮沢賢治と比べてみよう

雨ニモマケズ - Wikipedia

「雨ニモマケズ」(あめにもまけず)とは宮沢賢治の没後に発見された遺作のメモである。一般には詩として受容されている。広く知られており、賢治の代表作のひとつともされるものである。



宮澤賢治 〔雨ニモマケズ〕 青空文庫より
↓↓↓

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ※(「「蔭」の「陰のつくり」に代えて「人がしら/髟のへん」、第4水準2-86-78)ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ


南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩

↑↑↑
「ヒドリ」についての考察はここ

見てのとおり、同じようなことを言ってます。

宮沢賢治は、サトゥラェ―諷刺詩を知っていたのでしょうか?

サトゥラェ―諷刺詩
上記の本について ユウェナリス紹介 より
↓↓↓

ユウェナリスの詩集は『サトュラエ』と題して藤井昇氏の全訳が日中出版から出ているが、この訳は注釈書として読むにはいいが、読んで楽しむたぐいのものではない。第10歌の訳を参考にさせていただいたが、訳し落としや誤字脱字のたぐいが散見され、校正も充分行なわれていないようだ。訳者が慶応大学名誉教授ということで、出版社も遠慮したのだと思われる。しかし、それでも前後の文脈から、俗説の誤りを確認することぐらいは可能だ。もっとも藤井氏は、例の箇所を「健全なる肉体に健全なる精神が宿るようにと希うべきである」としていて、新たな誤解を生み出す元となった可能性はある。

↑↑↑

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