と
日本での「忍者?要はヒーローアクション物だよ、元になった職業はいくつかあるけど」
の温度差について。
ネットで仕入れた各種知識をもとに歴史知識を披露する、よくいる忍者かぶれおじさん。
これもいろいろと素敵なズレっぷりの忍者動画。
それらへの反論。
日本での忍者ストーリー
抗争の多かった伊賀・甲賀で、盗賊働きの手段が発達する。
1487年、室町幕府の将軍が出陣した戦いで、対立勢力にいた甲賀勢が夜襲により戦果を上げる(忍者=夜イメージ)。
戦国時代、各地の大名たちが抱えていた諜報・火付け用の集団が有名になる。
徳川家による統一後:
伊賀は武士化。
甲賀は天草四郎の乱が最後の働き。
風魔は盗賊として終了。
江戸幕府はお庭番(おにわばん)、各地に情報収集用の一般人を装った隠密(おんみつ)を送りこむ。
以後の忍者イメージの元になっただろう芝居
華々しい衣装に身を包み、カエルを呼び出す忍者の自来也(じらいや)。
以後の忍者イメージの元になっただろう現実
山を駆けまわって修行し、薬草販売や病気回復のための祈祷を行う職業・修験者(しゅげんじゃ)。
北斎漫画に登場する、ロープを昇る黒装束の盗賊。
明治~大正~昭和初期の創作
猿飛佐助(さるとびさすけ)霧隠才蔵(きりがくれさいぞう)などのキャラクターが創作され、人気者になる。
忍術という超能力イメージ。
映画のコマつなぎによる技法で、「消える」「瞬間移動」などの忍術表現ができるようになる。
忍者に超体術という属性が生まれる。
昭和(第二次大戦)後の創作
大人がハマる、歴史っぽく見える忍者ストーリー。
白土三平の創作により、実技中心の作品が登場する。(忍者武芸帳、カムイ伝など)
・黒い盗賊衣装をまとった敵対勢力。
・黒衣装の下の鎖帷子は、マンガ絵では網シャツ状に表現される→網シャツ化。
・モブ役側の設定で、黒衣装集団にも背景ストーリーが誕生。
・「現実的な表現」が、「現実だったに違いない」と受け取られていく。
江戸時代のお庭番や隠密も、これらの黒衣装にとりこまれていく。
大人向けのエログロ忍術、子供向けの大活劇用の忍術も健在。
山田風太郎関連作品、赤影、ガッチャマン、ハットリくんなど
海外で:
手裏剣術などの総合武術としての忍術が、外国で有名になる。
各種の創作ニンジャ物が、その歴史の正当性を示すものとして使われる。
平成以後の創作:
ビデオゲーム上で、「ニンジャかぶれしたガイジン」のパロディキャクターが作られるようになる。
(『サムライスピリッツ』のガルフォード、『ギルティギア』のチップなど)
忍者をモチーフとした特撮ヒーローが作られる。(カクレンジャー)
忍者国家どうしの戦いが描かれる。(NARUTO)
忍び=隠れて動き回る、というイメージがこれまで普及しているので、それに対してビデオゲーム『戦国BASARA』などの「おいお前少しは隠れろよ!(笑)」という反応を期待した、派手なニンジャキャラクターが現れる。
まとめるとこんなふうになるのかな。
日本の忍者:
舞台技術で、煙を残して消えたり、撮影技術で、各種の超常現象を起こせるヒーロージョブが生まれ、
そのヒーロージョブの元となった歴史上の職業はこうだったに違いないという伝奇が生まれ、
それらがごちゃまぜになった、泥棒とも超能力者ともつかないヒーローが生まれ、
子供の頃にはまったヒーローのパロディものを、親世代が作り出しては子供へと伝える物語。
海外の忍者:
日本から格闘術が伝わり、
それのルーツとして忍者が設定され、
忍者の歴史を教えるために日本人が娯楽作品として作り出した各種ニンジャ芝居映像が使われ、
超能力と体術を歴史的なヒーローも身につけていたに違いない、という歴史観。
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