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Betelgeuse's Diary

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猫にとっての猛毒、ユリとヘメロカリスについてのメモ

飼い猫に近づけてはいけないもの:
ユリの花束、ユリの鉢植え、庭や空き地に生えているユリ、ユリの入っていた花瓶の水など。


どう問題なのか:
ネコにとっての猛毒。
毒成分がまだわからず、対症療法(吐かせる・下剤・輸液など)しかない。
花粉、葉、つぼみなどをごく少量食べた例でも死亡例があり、
花粉は体についたものを舐めることで、ネコのイタズラ心とは関係なく口にしてしまう可能性がある。
人間や犬()、ウサギ()など他の動物に影響が少ないため、ネコへの毒性が見過ごされやすい。


ネギやタマネギとは何が違うのか:
ネギ類が起こすのは、ネコの貧血。ユリが起こすのは、ネコの腎臓病。

猫にユリは毒

花を飾るときは、ユリ類が無いか十分に気を付けてください。
猫が花を噛んでちぎって逃げた - YouTube





何が起きるか:
http://nichigopress.jp/live/jyui/2274/[archive]

症状には3段階あり、まず2~12時間の間に嘔吐や食欲不振などが見られるでしょう。次の24~72時間の間に急性腎疾患に発展します。この時期に猫は通常よりも多く飲水し、脱水症状も認められます。
 それでも治療をしなかった場合は、その後3~7日以内に死亡するという最終段階に至るケースがほとんどです。また、たとえ治療をしたとしても、時に助からないことがあります。



毒性については2010年の以下の文献を参照してください。
Lily Toxicity in the Cat



事例1:2005年、オリエンタルリリー『スターゲイザー』の花粉を舐めた13歳のシャム猫の死亡例
http://ameblo.jp/ei-oh-oh/entry-10001980488.html[archive]

事例2:2005年、スカシユリの蕾を食べた5ヶ月のアビシニアンの死亡例
http://alivila.exblog.jp/m2005-05-01/#1980076[archive]

事例3:2006年、ユリの葉をかじったネコ2匹。摂取量が少なく、早期に吐かせて輸液のため別状なし
http://okwave.jp/qa/q2386376.html[archive]

事例4:2002年、イースターリリーの葉を食べた、室内飼い3歳のメインクーンが慢性腎不全
http://alivila.exblog.jp/1979334/[archive]に、
Textbook of Veterinary Internal Medicine 6th edition(amazon)からの引用翻訳で掲載されています。症状などについても詳細が引用されているので見るとよいでしょう。

事例5:2010年、7ヶ月の子猫がユリの花を食べて死亡
http://curl-up.net/?eid=1172[archive]

「うちの子はそんなの興味ないから大丈夫。」
「うちの子はそんなの食べないから大丈夫。」

本当に大丈夫ですか?

亡くなった子の飼い主さんも食べないと思い込んでいましたよ・・・
猫は興味のあるものは口の中に入れる習性があります。




事例6:2011年、2歳手前の黒猫。腹膜透析、人工透析器により1週間延命
http://blog.livedoor.jp/iwasaki_ah/archives/6277641.html[archive]

「実はエチレングリコールではないような気がするのです。」とのことでした。
僕は、そこで間髪いれずに、「ユリ」ですか?と聞くと、
「そう部屋にユリが挿してあるのです。」とのことでした。



事例7:2013年、バレンタインデーの花束のユリで1歳、5歳、17歳の猫が死亡、3歳の猫が生き延びるが腎障害
The Valentine bouquet that killed my cats: Mother's Day warning on lethal lilies | Mail Online[archive]

事例8:2010年、法事に使ったユリの花束を持ち帰った家庭で猫が花を噛み、死亡
猫のユリ中毒 | 神戸市垂水区/動物病院【旗谷動物病院】トリミング:ペットホテル:ワクチン:ペット保険[archive]

私が最近経験した例で、飼っている猫がいつもと違い何かおかしいのと、2回嘔吐したとのことで来院、いろいろ検査しても原因が全くわからず、ひとまず嘔吐を止める処置を行い、次の日にもう一度診察することで帰宅、翌日血液検査の結果を見てビックリ、腎臓がほとんど動いていない状態で、昨日の朝まで何の異常もなく元気そのものであったのが、一晩のうちに突然尿毒症状態に陥っているのです。


原因はそれだ、すぐ花弁や葉っぱに猫が噛んだ跡がないか調べてもらうと、やはり葉っぱのあちこちに噛んだと思われる歯型痕や花弁の一部がなくなっているとのことで、胃洗浄するには時間が経ち過ぎています。後は透析しか方法はありません。すぐ大学病院に緊急入院を依頼、直ちに点滴をしながら大阪府立大学付属獣医臨床センターに搬送、様々な治療が試みられたが5日後(ユリを食べてから8日後)治療の甲斐なく天国へ旅立ってしまいました。



その他、中毒事例については2011年の以下の文献。
Exposure Circumstances and Outcomes of 48 Households with 57 Cats Exposed to Toxic Lily Species[archive]



どのユリがまずいのか:
複数の種類のユリで猫の中毒が起きている。
http://www.cfainc.org/articles/lilies.html
http://answers.google.com/answers/threadview/id/444574.html
葉・茎・花・花粉など

ユリ属(Lilium)一般。日本ではテッポウユリ、タカサゴユリ、スカシユリ、オニユリ、コオニユリ、ヤマユリ、カノコユリ、ヒメサユリ(オトメユリ)、クルマユリ、ササユリなど。また、スターゲーザー、カサブランカ、ルレーブなど、栽培される交配種。



ワスレグサ属(Hemerocallis)一般。漢字は忘れ草(わすれぐさ)、萱草(かんぞう)。日本ではニッコウキスゲ、ムサシノキスゲ、エゾカンゾウ、ヒメカンゾウ、トビシマカンゾウ、ヤブカンゾウ、ノカンゾウ、ユウスゲ、そのほかキスゲやヘメロカリスという名で販売されているもの。


がネコにとっての猛毒の例として挙げられています。

ヘメロカリスの猫への毒性については2013年時点でも激論になっていて[archive](「ユリもDay Lilyと俗称することがあるから集計が間違ってるのでは」、「庭で何年も猫が食べているが大丈夫だ」、「家の老猫は食べて死んでしまった」、など)おそらくヘメロカリスの品種や猫の状態などにより相当な差があるものと思われますが、詳しい実験例は無いようです。このため、警告されているとおり毒として扱っておきます。

地下部分
テッポウユリ・タカサゴユリは球根部分もネコにとって危険。
食用として売られているコオニユリの鱗茎『百合根』については、ネコに急性の毒性はないもようですが詳細はわかっていません。地上部の葉・茎・花などはネコに有害です。



その他、文献
メールマガジン どうぶつのお医者さんの事件簿-第185号 06/08/2003 より、
http://www.geocities.co.jp/AnimalPark-Pochi/5514/185.htm

----------------------------------------------------------------------
 文献要約 Dr.Sato
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ネコのユリ科植物中毒の回顧的研究
Hadley RM et al : Vet Hum Toxicol 45[1]:38- : A retrospective study of daylily toxicosis in cats.

日本でオニユリ(ユリ属)はネコに腎毒性を持つ。この研究は一般的なユリ科植物をネコが食べて、引き起こされるリスクを研究した。1998年1月から2002年6月の間にヘメロカリス種を食べたという猫のカルテから、徴候、摂取量、臨床症状(発現、重症度、持続期間)、治療処置、結果について再検討した。摂取後中毒を起こしたと確認された22症例を評価した。ユリ科植物を摂取したネコは、胃腸障害や急性腎不全を起こす恐れがある。治療の成功を握る鍵は、早期汚染除去と積極的な輸液療法である。(Sato訳)





Hall J: 1992, Nephrotoxicity of Easter lily (Lilium longiflorum)
when ingested by the cat. Proc Annu Meet Am Vet Int Med 6:
121–121.
初期の報告例。


Wilson K Rumbeiha, Jayaraj A Francis, Scott D Fitzgerald, Muraleedharan G Nair, Kate Holan, Kwasi A Bugyei, Heather Simmons:A Comprehensive Study of Easter Lily Poisoning in Cats
猫での実験、水溶性の成分。
http://vdi.sagepub.com/content/16/6/527.refs[archive]



Hall, J. O. :2006, Nephrotoxicity of Easter lily (Lilium longiflorum).
猫に毒性あり、ウサギとラットに毒性なし。
http://digitalcommons.usu.edu/advs_facpub/151/[archive]

猫の主な中毒原因にも挙げられている。
The 10 most common toxicoses in cats
http://www.aspcapro.org/sites/pro/files/zl-vetm0606_339-342.pdf[archive]
1. Canine permethrin insecticides 犬の蚤とり殺虫剤(ペルメトリン)
2. Other topical insecticides 殺虫剤(それ以外)
3. Venlafaxine(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradrenaline reuptake inhibitor : SNRI))
4. Glow jewelry and sticks ケミカルライト、サイリウム
5. Lilies ユリ
6. Liquid potpourri 液体ポプリ, ハーブオイル
7. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs, 非ステロイド性抗炎症薬) アスピリンやイブプロフェン
8. Acetaminophen アセトアミノフェン
9. Anticoagulant rodenticides 殺鼠剤
10. Amphetamines アンフェタミン、覚せい剤

2013年、オリエンタルリリーの花びらをオス9匹メス9匹に量を変えて投与した実験。猫へは肝毒性もあるもよう。
http://www.omicsonline.org/2161-0495/2161-0495-3-152.pdf [archive]




ユリ属もワスレグサ属も、庭でよく栽培されます。

また、風でタネが広がって1年で花を咲かせるタカサゴユリ、地下茎で増えるヤブカンゾウ、は人家近くの空き地・線路沿い・河川敷などでとてもよく見かけます。
タカサゴユリは鑑賞目的で、ヤブカンゾウは葉やつぼみを野菜として使うため持ち込まれて、それぞれ帰化したもののようです。


FILE118 タカサゴユリ  Lilium formosanum Wallace[archive]
ヤブカンゾウ Hemerocallis fulva var. kwanso (ユリ科 ワスレグサ属)
忘れ草(萱草 カンゾウ) 和歌歳時記
乾燥させたワスレグサ属のつぼみは、「金針菜(きんしんさい)」の名前で野菜として売られています。主に炒め物として食べられているようです。
【オーサワジャパン】金針菜 50g 価格 200円
《中国産》金針菜(ゆりの花)【250g】488円

どこにでもある草だけに、これらの植物との接触が、屋外で生活するネコの寿命にある程度関係しているのかもしれません。




そのほかのユリ科については、ネコへの毒があったり無かったり。
日本で売られているユリ科植物のうちいくつかを検索してみます。

オリヅルラン:
毛を吐かせるための「猫草」として、カラスムギのかわりにされていることが多い。中毒事例がありますが、他のユリのような腎臓障害を起こす毒性ではないようです。
2008年の例 http://www.animal-k.com/diary24.htm

 1月 ×日(曇)           <毒のお話 その①>
夜遅い時間に急患で日本猫のミー太(6歳)がやってきた。飼い主さん曰く、「夜10時過ぎに帰宅したらミー太がヨダレをたらしてコタツのわきでひっくり返っていた!」とのこと。来院時すでに神経症状(眼球しんとう等)を呈してしていたので中毒を疑ってお話を伺ったところ、観賞用の植物(折鶴ラン)の葉っぱが部屋中に散らばっていて、どうやらこれを食べたらしい。
かつて都内の動物病院に勤務していた頃、これと全く同じ症例-"折鶴ランの摂取による中毒"-を2度ほど経験した事がありますが、ふしぎなことに毒性学や中毒学のテキストをみても折鶴ラン単独では記載がありません。もっとも、"ランの仲間にはアルカロイド(植物に含まれるアルカリ性の薬理活性物質)を含むものもあるので留意せよ"、との注意書きはありますが・・・。ちなみに最も有名なアルカロイドといえば、コカインやモルヒネといったところでしょうか。
ところでその後ミー太は難なく回復して無事退院出来ましたが、猫はなぜかツンツンした葉っぱを食べる習性があるので、とくに猫を飼われている方はご注意あそばせ!!



ヤブラン、ジャノヒゲ、リュウノヒゲ:
リュウノヒゲについて、食べさせていた人の質問あり。「食べさせるのをやめます」とあるので、急性の毒性は無いのかもしれません。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1315067313

バイモ類:
Fritillaria属のバイモ、アミガサユリなどは人に毒性があり、猫も影響があると考えられます。
クロユリについてはアイヌ料理などで人は食べていますが、猫への影響については不明です。
タクッパさんのちょぴりアイヌ語講座: クロユリ[archive]



犬への影響については、「ややある」「ほとんどない」に分かれるようです。
影響はない:Michigan Veterinary Specialists - Lily Plant Toxicity

Other pets, such as dogs and rabbits, do not seem to be affected. Examples of these plants are the Easter Lily (Lilium longiflorum), Tiger Lily ( Lilium tigrinum), Day Lily (Lilium hemerocallus), Asian lily (Lily asiatic spp.) and Rubrum Lily ( Lilium rubrum).


影響はある:BeLLxBeLL Room +++ 犬が食べると危険な物・あまり食べさせない方が良い物 +++

ユリ ユリ類は猫のほうが深刻だが、ごく一部犬も中毒を起こすものあり



犬がヘメロカリスの花を食べて具合が悪くなり、その後回復した例が、この記事にリンクされていました。
わんだふるぅ: 危機一髪? ヘメロカリス

主人公は千代です。夕方の散歩の前に、玄関先に咲いていたヘメロカリスの花をムシャムシャ食べていました。草や花を食べるのはいつものことなので、あまり気にもしていませんでした。




履歴
2010-04-10 魚拓追加、関連記事へのリンク
2010-04-15 配置変更
2010-05-30 文献追加
2010-08-21 犬について追記。『影響がない』は『影響が少ない』に改めます。TB先1件追加。
2011-03-15 金針菜として売られているヘメロカリスのつぼみについて、リンクを追加。
2012-06-30 文献へのリンクを2つ追加。
2013-08-22 透析事例があったので追加。
2014-01-22 リンク類の整理。画像・動画追加。
2014-03-15 事例7追記
2014-12-30 事例8追記
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