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Betelgeuse's Diary

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最強の呪文をどのように描くか。ウィザードリィ小説『風よ。龍に届いているか』より

ベニー松山の描くウィザードリィ世界『風よ。龍に届いているか』。

迷宮を進む冒険者たちや魔物の息づかい、破滅直前の世界描写が面白いのですが、特に好みなのが魔法などの表現です。


ウィザードリィでの最強呪文、ティルトウェイト。どんな呪文かというと、
ウィザードリィ:呪文一覧 http://www.sting.co.jp/game/wiz/spell.htm

ティルトウェイト TILTOWAITO 敵全体
原子融合による核爆発を起こし、敵すべてに10~100ポイントのダメージを与える。

最強というととりあえず核ですね。
ベニー松山はこれにすてきな理論設定と社会情勢を加えて描きます。

古代の文明では(創土社版下巻、p.12, p14)

異なる次元で引き起こした核爆発のエネルギーのごく一部をこちらの空間に転移させ、一千度程度の火炎と衝撃波を放射する破砕型焼殺呪文である。
そして、ゴルソムに言わせるなら、こんな呪文は子供騙しの花火のような代物であった。


領主の護衛には、三人の魔術師が当たっていた。いずれも"爆炎(ティルトウェイト)"程度の呪文しか習得していなかったが、他国の術者に命を狙われるわけでもない辺境の小領主の警護には充分過ぎるほどだった。

古代では扱いがとにかく軽く、あっさりと。誰でも使える感じなのですが、
冒険の舞台となる時代では(創土社版上巻、p.104-105)

呪文が呼び起こされる直前に放射される魔法風だ。
 風を感じたのとほぼ同時に、閃光が衛士長を包み込む。それが一瞬にして膨れ上がり、爆発する。
 衛士長を中心に直径十数メートルの円形の超高熱火炎が発生した。炎の壁が噴き上がり、先刻の猛炎(ラハリト)が子供の焚火に思えてくるほどの熱波が激しく肌を打つ。
 何者をも灼き尽くす異界の炎。魔術師系最高位の第七レベルに属する、現在知られている魔法の中では最大の破壊力を秘めた広範囲呪文・爆炎(ティルトウェイト)だった。
 猛炎(ラハリト)などの火炎系の呪文が敵を外部から燃焼させて破壊していくのに対し、この爆炎(ティルトウェイト)は爆発の衝撃波で相手を粉砕し、一千度を超える超高熱火炎で一気に灼き尽くす。呪文の無効化能力か、熱に対する高い耐性でも持っていない限り、並の生物がまともにこの炎を浴びれば一瞬にして炭化してしまうだろう。


高熱に焙られて円形に変色した床の中央に、ほとんど灰と化した衛士長の屍が転がっていた。胴体はまだ形を保ってはいるが、風が吹いただけで崩れそうなほど徹底して炭化していた。恐ろしいまでの爆炎(ティルトウェイト)の威力だ。


とても格好よくなっています。

引き起こされる現象を順を追って示すこと、扱いが難しく資格者が少ないものであること、最終的に効果を見えるかたちで伝えること。
すごいものをすごいと伝えるために必要なものが、簡潔な文章の中にそろっています。

扱いが軽いほうも重いほうも、両方に子供という表現が使われていて、対比となっていますね。

以下は書籍のデータと関連リンク。


1994年のJICC事務局(現・宝島社)版。新書サイズ。

上記の絶版から、復刊までのエピソード
「風よ。龍に届いているか」復刊カウントダウン企画 高橋画伯によるラフスケッチ画像を大公開!
「風よ。龍に届いているか」復刊への長い長い裏話・前編 (2002.11.16)
「風よ。龍に届いているか」復刊への長い長い裏話・後編 (2002.12.24)



2002年の創土社版ハードカバー上下巻。
改稿され、上下分冊。下巻の冒頭にウィザードリィ小説アンソロジーに収録されていたアドリアンの過去編「不死王」も収録されている。





2016年にKindle化が発表されました。




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不倒城: レトロゲーム万里を往く その95 冷気系や地震系の呪文のダメージは何故分かりにくいのか。
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