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Betelgeuse's Diary

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「ダンジョン飯」1巻。魔物の生態と味を考える、生物好き必見の面白さ。

ウィザードリィ的な、謎の迷宮探索をする冒険者たち。
戦士ライオスたちのパーティは食糧を失ったことをきっかけに竜との戦闘に敗れ、竜を倒して妹の遺体を胃から回収し甦生させることが当面の目的となる。
経費節減のため食糧を迷宮内で自給することにし、魔物食研究家のドワーフを加えての冒険が始まる…。

漫画「ダンジョン飯(めし)」は、ごくありふれたファンタジー冒険世界で魔物を解体したときに何が食べられるかをつきつめた、うんちくが面白い作品。
これは、他人が気持ち悪がって使わない未利用資源に、まっさきに気づいた人たちの寓話でもあります。

私の場合はダンジョンRPG、動植物の生態、昆虫食と、この作品を楽しむための土台が全部そろっているため、非常に楽しめました。



ファンタジーRPGはもともとヨーロッパ中世を模したものですが、指輪物語やダンジョンズ&ドラゴンズなどを経て日本で普及するときに、日本の風土に合った(日本人に理解できる)形へ変化を遂げています。

この「ダンジョン飯」に登場する人物も、「中身はだいたい現代日本人」の人間やエルフやドワーフたちです。

登場する魔物食材も、現代日本において、食べられるけどなんとなく食べる気にはなれないもの。

それぞれについて、感想と薀蓄をいくつか書いてみます。

第一話 水炊き について
大サソリ
「ダンジョン飯」では、作中でもツッコミが入れられていましたが、日本でのザリガニのポジションです。

<<作中の大サソリの参考にされているだろう現実の生物>>
アメリカザリガニやウチダザリガニなど、北米から帰化したザリガニ類。

どこの水田や用水路、排水路にもいるアメリカザリガニは、きれいな水に生きているものならば泥抜き後に食べられる食材ですが、日本では高度成長期の水質悪化を経て、あまり顧みられなくなっています。

冷たい水を好む大型種のウチダザリガニは、北海道や東北で駆除活動と食品としての販売が平行して行われています。

(以前書いた記事)怪獣のような扱いだったアメリカザリガニの宮城県侵入(1938年)

スライム
「ダンジョン飯」作品中では、スライムは胃を外に出して消化するタイプの生物です。
ただのゼリー状の怪生物として扱わないのが、この作品の大きな特徴。

<<作中のスライムの参考にされているだろう現実の生物>>
・コウガイビルやウズムシ類など。かつてサイト「ざざむし」でクロイロコウガイビルを食べたレポートがあり、ミミズ臭いとの評がありました。
 ミミズやカタツムリやナメクジ、昆虫などを捕食している生き物です。
 小笠原などでは帰化したニューギニアヤリガタリクウズムシ(ニューギニア・ヤリガタ・リク・ウズムシで発音は切ります)が在来のカタツムリに大被害を与えています。

・潮干狩り場でアサリに穴を開けて食べてしまう巻貝、ツメタガイサキグロタマツメタ
 茹でると食感が落ちるので、あまり利用されない食材です。

<<作中のスライムの参考にされているだろう現実の食材>>
スライムは作中で、下処理と乾燥に手間がかかる高級食材。すなわちフカヒレの扱い。



第二話 タルト について
人食い植物
登場人物、特に魔法使いマルシルからのツッコミが厳しいこの作品としては珍しくスルーされてた、p.61の「あの植物に溜まるゼラチン」ですが……これ、間違いなく捕まって死んだ動物(人間含む)そのものですね。


第三話 ローストバジリスク について
鳥とヘビのおいしそうな合体。
丸焼きに使う台は、棒を2本じゃなく3本にしないと安定しませんよ。


第四話 オムレツ について
マンドレイク
現実での有毒植物(マンドラゴラ)については、解説が巻末に少しあります。
マンドラゴラの日本名はハシリドコロ。山菜と間違えられやすい毒草です。

オオコウモリ
<<現実のコウモリ類>>
現実のオオコウモリ類は作品中に登場するような巨大さはありませんが、果物を食べて生きており、東南アジアで食材として普通に利用されています
小型で、虫を食べるコウモリは、アフリカで子供のおやつとされています。2014年のエボラ出血熱の流行で、オヒキコウモリが感染源と疑われています。
エボラウイルスの感染源に意外な動物 | ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC) 日本版公式サイト[archive]


第五話 かき揚げ について
煮え油の罠に使われていたオリーブオイル、酸化してまずいことになってそう。


第六話、第七話 動く鎧 について
動く鎧
まさかここで群体の生物が出てくるとは。この発想は無かった。すごい。



昆虫食と、魔物食を比較して
私は伝統食としてのイナゴやハチノコは喜んで食べられる、ジャイアントミルワームや桜毛虫など旨さに定評のあるものなら味を確認してみる主義なので、作中だと戦士ライオス(生態ヲタから食方面の関心)と鍵師チルチャック(食えなくはなさそうなら試す)の中間あたりの立場です。

(以前書いた記事)
ジャイアントミルワームを、クルミやゴマと食べ比べてみました。
美味しすぎる旬の「桜毛虫」モンクロシャチホコ。この美味さは広めてよいものだろうか?


物語の行く末はたいして気になりませんが、どんな現実の生き物をベースとした魔物の料理が出てくるのかはとても楽しみな漫画となりました。
続きが待ち遠しい。

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テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術



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