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Betelgeuse's Diary

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「もろはのけん、もろはのやいば、もろはのつるぎ」と「ジレンマ」について

日本では平安時代以降に片刃の刀(かたな)が普及したことで、両側がとがっている剣(つるぎ、けん)は儀式用を除いて廃れていきました。
剣(けん)という言葉は剣法など、手段や精神性を意味する用語となっていきます。

明治時代になるとキリスト教の概念がいろいろ輸入され、聖書内の「もろ刃の剣(もろはのつるぎ)」は「馴染みがないけどなんかすごい武器」と思われました。

また、論理学でジレンマを表わす三段論法、相手に「どっちも選べないよ…」と言葉に詰まらせて信用を落とす方法は「両刀(りょうとう)論法」と呼ばれました。

見た目が似通っていたためか、印刷上や運用上もいろいろ混同されていたようです。

2015年現在、
両刃の剣・諸刃の剣・諸刃の刃(もろはのつるぎ、もろはのやいば)はハイリスク・ハイリターンの象徴として
「大ダメージを期待できるが自分も傷つけかねない」

ジレンマは両刃論法という言葉が廃れて
「あちらを立てればこちらが立たず。窮地」

という状況で使われています。

辞書上の意味
http://www.weblio.jp/content/%E3%82%82%E3%82%8D%E5%88%83%E3%81%AE%E5%89%A3

もろ刃の剣
読み方:もろはのやいば
効果は大きいが危険も大きい物事。利益を期待する一方、ダメージを覚悟しなければならない物事。「もろ刃」は両刃になっている刀剣のことで、「諸刃」と書く。諸刃の刃。また、諸刃の剣とも言う。



英語の "double-edged sword" や、 "two-edged sword" もこの意味。

http://en.wiktionary.org/wiki/double-edged_sword

Noun
double-edged sword (plural double-edged swords)
(idiomatic) A benefit that is also a liability, or that carries some significant but non-obvious cost or risk.


http://en.wiktionary.org/wiki/two-edged_sword

Noun
two-edged sword (plural two-edged swords)
A double-edged sword; a benefit that is also a liability.




違うけど混同して使われているのがジレンマの別名、「両刀論法」

https://kotobank.jp/word/%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E-536116

デジタル大辞泉の解説
ジレンマ(dilemma)
《「ディレンマ」とも》
1 二つの相反する事柄の板挟みになること。「―に陥る」
2 論理学で、二つの仮言的判断を大前提とし、その判断を小前提で選言的に肯定または否定して結論を導き出す三段論法。例えば、「城にとどまれば焼き殺される。城から出れば切り殺される」「城にとどまるか、城から出るかよりほかに道はない」「故に、いずれにしても殺される」の類。両刀論法。



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E

ジレンマ、ディレンマ (ギリシャ語:δί-λημμα、英dilemma) とは、
ある問題に対して2つの選択肢が存在し、そのどちらを選んでも何らかの不利益があり、態度を決めかねる状態。
哲学・論争などの分野では前提を受け入れると2つの選択肢の導く結論がともに受け入れがたいものになることを示し、議論の相手を困らせる論法。日本語では「両刀論法」ともいう。





現状

「諸刃の剣」が使われる例はしだいに増えてきました。



「もろ刃」は聖書によく出てくる言葉です。
http://words.kirisuto.info/%E3%82%82%E3%82%8D%E5%88%83-srch.html

旧約聖書:士師記:3章:16節 エホデは長さ一キュビトのもろ刃のつるぎを作らせ、それを衣の下、右のももの上に帯びて、

旧約聖書:詩篇:149章:6節 そののどには神をあがめる歌があり、その手にはもろ刃のつるぎがある。

旧約聖書:箴言:5章:4節 しかしついには、彼女はにがよもぎのように苦く、もろ刃のつるぎのように鋭くなる。

新約聖書:ヘブル人への手紙:4章:12節 というのは、神の言は生きていて、力があり、もろ刃のつるぎよりも鋭くて、精神と霊魂と、関節と骨髄とを切り離すまでに刺しとおして、心の思いと志とを見分けることができる。

新約聖書:ヨハネの黙示録:1章:16節 その右手に七つの星を持ち、口からは、鋭いもろ刃のつるぎがつき出ており、顔は、強く照り輝く太陽のようであった。

新約聖書:ヨハネの黙示録:2章:12節 ペルガモにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『鋭いもろ刃のつるぎを持っているかたが、次のように言われる。





歴史

近代デジタルライブラリーで、明治時代から昭和初期の文献を確認すると、

「諸刃」→該当なし
 長野の小諸(こもろ)などがこの読みですが、諸刃でモロハと読ませるのは新しい表現?

「両刃」→
1896年(明治29年)
両刃の劔(もろはのつるぎ) 鵜飼猛 編
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/825205/1
聖書の参考書。
パワフルだけど危険物、というタイトルをつけるとも思えないので、これは単に「すごく力がある」ぐらいの意味でしょうか。


1898年(明治31年)
論理学 高山林次郎 著 第十一章 仮言的三段論法、撰言的三段論法、及び『両刀論法』
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/753095/72
武器の「もろば」と紛らわしい、論理学のほうの「りょうとう」もこのあたりから出はじめ。


1906年(明治39年)
怪美人 : 探奇小説  河越輝子著 85ページ
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/896757/53

のみならず凶器は医者の云う所で、両刃(もろば)の切物(きれもの)の幅が一寸、丈(た)けが八寸より短(みじか)くない剃刀のような鋭利な者に証(しょうせ)られてゐるのでございますから、


推理小説では両刃をモロバと読ませています。


1908年(明治41年)
三叉演説集 竹越与三郎 (三叉) 著 90ページ
1939年(明治39年)3月16日、衆議院の「鉄道国有法案について」演説内の「両刃の私権論」
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/898283/53

併せながら諸君の言はるる私権は、両刀の剣であって、吾々を斬ると同時に、諸君をも斬るのであります。


※「両刀の剣」は原文のまま
ここで、2015年現在のいわゆる諸刃の剣としての使い方をされています

1921年(大正10年)
ドストイェーフスキー全集. 第8巻カラマゾフ家の兄弟 1417ページ
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/958995/420

十 辯護士の辯論。両刃の論法


※ここではジレンマを意味する「両刀論法」のことのようですが、翻訳は「両刃」

どうも昔から、いろいろ紛らわしいようです。


2015年現在、モロハノツルギ、モロハノヤイバが「諸刃の剣」に収束しつつあるのは、この紛らわしさをさけるためもありそう。




英語での"Dilemma"と"Double-Edged Sword"の使われかた

The "Double-Edged" Dilemma: The Eleventh Circuit's Devaluation of Mental Health Mitigators in Evans v. Secretary, Department of Corrections

The Instant Feedback Dilemma – Why Social Customer Service Is a Double-Edged Sword
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