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Betelgeuse's Diary

中国語で侮蔑語・罵倒語となる「我孫子」について

茨城県の我孫子(あびこ)市、JR常磐線の我孫子(あびこ)駅、人物名の我孫子さん(我孫子武丸さんなど)は、中国では放送禁止語となるらしい。

この問題は数年に一度ぐらいの頻度で、話題となっているようです。

2005年
中国語で「猪」「我孫子」とはどういう意味にあたるんですか?バカにす... - Yahoo!知恵袋[archive]

「我孫子」もしくわ「孫子」は北京方言から広がった悪い言葉、ガキ喧嘩よく使われる。




2008年
「週間ポスト」2008年8月29日号 宋文洲『時字放談』

★意外? 「操」に込められた相手への侮辱
千葉県に「我孫子」という町がありますね。
でも、日本のことをあまり知らない中国人が「我孫子」を見たら、おそらく大変びっくりすると思います。
なぜならばそれが人を罵る言葉だからです。

もともと、中国語で「我孫子」といえば「私の孫」という意味です。
ですからもちろん、中国人が自分の孫を「我孫子」と言う時は侮辱する意味にはなりません。
しかし、同性で(異性はまた別)、自分の孫でもない人のことを「我孫子」と呼んだ途端、これが相手を罵ることになるのです。

実際、特に中国の古い習慣が残る地方では、相手を罵る時に「我孫子」がよく使われます。
これが おそらく儒教と関係があるのではないかと思います。
儒教はお年寄りを大切にするイメージがありますが、その裏に若者が未熟で愚かという考えがペアになっています。
孫は子供の子供ですから未熟のそのまた未熟な人間ということになりますね。
つまり、血のつながりの無い人を「我孫子」と呼ぶことは、相手を「未熟さの極まり」といっているようなものです。
実際にこうした言葉が使われる状況を感覚的に理解していない日本人にはピントこないかもしれませんが、とにかく中国人は「我孫子」といわれると、酷い侮辱に感じるのです。


(太字は引用者)
なぜ罵り言葉になるのかが解説されています。

2012年
中国人をどよめかせる我孫子智美選手、改めて解説=ロンドン五輪 2012/08/06(月) 12:47:18 [サーチナ][archive]

意外にも、と言ってはあまりにも失礼かもしれないが、中国で“妙に知名度が高い”日本人選手がいる。陸上女子の我孫子智美選手だ。最初に注目されたのは2010年に広東省広州市で開催されたアジア大会。湖南省の長沙晩報は、ロンドン五輪に出場した我孫子選手の名について、改めて解説記事を掲載した。
■「ロンドン五輪」に関する他の記事 - サーチナ・ハイライト
  我孫子選手の専門は棒高跳び。2010年のアジア大会では3位に入賞した。表彰台にのぼり、同選手の名がアナウンスされると、観客がどよめいた。

  当時の中国語アナウンスを日本語になおして再現するとこうなる。「第3位、私の孫、ニッポン」――。「私の孫が3位とはどういうことか」と、会場が騒然となった。

  中国語では、外国人の名を基本的に音の近い漢字で表記する。オバマ米大統領はら「奥巴馬」と書いて「アオバマ」といった具合に読む。ただし、日本人や韓国人など漢字文明圏の人名ならば、もとの漢字表記をそのまま使って中国語読みする。

  日本語の固有名詞が中国語で別の意味を表してしまう場合もある。その代表例が「我孫子」だ。中国語では「私の(男の)孫」となる。「それ以外には考えられない言葉」であり、固有名詞にはとても思えないという。

  アジア大会の“表彰式どよめき事件”の後、我孫子智美選手の名は中国のインターネットでも話題になり、検索ワードの上位にランクインした。

  長沙晩報はロンドン五輪にも出場した我孫子選手の名を、改めて「『私の孫』ということではない」と紹介した。

  記事は「日本には他にも我孫子という姓を持つ人がいる」、「東京から近い千葉県には我孫子市がある」などと説明。読み方は「あびこ=Abiko」であり、語源については「中国語ではない。シベリアで使われていた言語のAbik(=わが父祖)が起源との説もある」などと論じた。

  記事は改めて「我孫子は私の孫にあらず」と強調した上で、「それでも、普通はびっくりしてしまいますが」と締めくくった。(編集担当:如月隼人)


(太字は引用者)
中国人が驚いたことが事実としてニュースになっています。
中国人には「私の孫」という一般的な意味であることは記載されていますが、これが罵り言葉であることは記されていません。


「我孫子」「丁寧」 中日ネットユーザーが驚く五輪選手の苗字[archive]

世界最高レベルのスポーツの祭典である五輪には、非常に多くの選手が世界各国・地域から参加している。驚くような名前の持ち主がたくさんいても驚くには及ばない。開催中のロンドン五輪で陸上競技女子棒高跳びに出場した日本の我孫子智美選手は、「我孫子(中国語で『私の孫』の意味)」という苗字ゆえに、中国のネット上で話題を集めた。中国各紙が伝えた。

 我孫子選手が最初に中国人の間で話題になったのは、2010年広州アジア競技大会女子棒高飛び競技の時だ。この時、中国の李彩霞選手が金メダル、李玲選手が銀メダルに輝いた。しかし、授賞式で注目されたのは、金・銀メダルの栄冠に輝いた両選手ではなく、銅メダルを取った我孫子選手だった。

 会場の電光掲示板に受賞選手の名前が表示された時、会場全体に大きなどよめきが沸き起こった。観客の眼は一斉に、「我孫子智美」という名前に釘付けとなり、その後ひとしきり、「我孫子智美」はネットで人気検索ワードとなった。

 その理由は、「我孫子(あびこ)」という苗字を中国人がそのまま読むと「私の孫」という意味になるためだ。長幼の順序を重んじる中国では、「我孫子」はののしり言葉としても使われ、中国語で「あなたは我孫子だ」というと「オマエは俺の孫だ」と侮辱したことになる。そんな特殊なニュアンスを含んだ言葉なのだ。

 そう考えると、中国人がこの苗字を初めて見聞きしたときに驚くのも無理はない。だが日本には、「我孫子」という名の有名人はたくさんおり、推理小説家として名高い我孫子武丸氏もその中のひとりだ。

 千葉県には、「我孫子市」という地方都市もある。「我孫子」の日本語の読み方は、「あびこ(Abiko)」。日本語の意味はいくつかあるが、「私の孫」という中国語の意味はない。


(太字は引用者)
人民網日本語版では、侮辱となることについても解説されていました。

2015年
「ポンコツ」氏が教えていたときの教室の空気が記されています。
「ポンコツ (Ponkotsu)」担当の記事 | ロケットニュース24[archive]

ポンコツ (Ponkotsu)
神奈川県出身の元日本語教師。中国で長年日本語を教えていた、駄菓子を肴に晩酌することが大好きなポンコツ男。


「我孫子(あびこ)」は中国では放送禁止用語? | ロケットニュース24[archive]

私は上級クラスの担当だったので、日本のニュースを説明するという授業を行っていた。ネットで日本のニュース動画を見せて、それについて意見を言ってもらうというものだ。生活に密着したニュースほど会話が発展したのでなかなかよく出来ていたと思う。

・学生がドン引き
そんなある日。地下鉄千代田線の乗り入れの話題を取り上げたときのことだ。車両の正面に書かれた地名が映し出された瞬間、教室がザワついた。事故映像を見せていたわけではないのに学生たちが引いているのだ。

何が起きたのかよくわからないまま学生のほうを見ると、一番日本語が上手な学生が恐る恐る手を上げてこう言った。

「先生、日本ではその文字をテレビで映していいのですか」と―。


(太字は引用者)

学生より「我孫子」が中国では単に誤解される種類の日本語ではなく、放送禁止用語として指摘されています。




ロンドン五輪の出場選手名として中国のTV視聴者が驚いたり、日本語教師が日本文化を教えているときに電車の映像を見た中国の学生が驚いたりする、という話でした。

地名の由来そのものは不明です。さまざまな「こう考えられる」説があります。
千葉県の地名としては1313年の文書が初出。
「あびこ」の由来 - 我孫子市ホームページ[archive]

「我孫子」という地名は非常に珍しく、文献上では正和2年(西暦1313年)の九州の三池文書の中に「しもうさのくにあひこのむら」という記述が出てきます。これが我孫子市の「アヒコ」を示すことから、地名が存在していたことが確実になりました。
  地名の由来については市で調査を進めていますが、現在のところ語源として次の四つが考えられています。
 一つは、古代の氏(ウジ)や姓(カバネ) にちなむとする説で、大和朝廷の古い時期の官職として「古事記」等に出てくる「阿毘古」があります。この阿毘古は、大王(オオキミ)に魚や鳥などの食糧を貢進する氏族でした。中央の氏族は地方に領民をもっていたことから、それらの土地には各氏族の名がつけられ、それが後世にまで残ることになります。県内にもある蘇我とか葛城などはそのような地名ではないでしょうか。
 二つめは、網曳(あびき)が転じたとする説で、網曳はもと宮内省(ミヤノウチノツカサ)の大膳職に属する雑供戸で、海産の魚貝を貢進する品部でした。もしかすると、常陸川(現在の利根川)の鮭を網で捕ったりする「網引」や手賀沼の水鳥を網で獲ったりする「網子」など、地元の食産物を貢進していた集団(広義の「饗彦」)が住んでいたのかもしれません。
 三つめは、地形に根拠を求める説で、アバ(くずれた)・コ(処)が転じた崩壊地形を示す地名やアミ(網)・バ(場)の略で漁場を示す地名が考えられます。
 四つめは、外国語由来説でインドシナのチャム語のアビ(火)クク(神)ヘブライ語のAbik (我らの先祖たち)があります。またアイヌ語では、ap-Kotan(釣針-村)やapkot-ni(釣-竿)があり漁業に関する地名と関係しています。
  いずれにしろ、今のところ鎌倉時代以前には我孫子市の「あびこ」という地名を示す文献記録は存在しないので、地名があったのかなかったのかということは何ともいえないのです。   〈参考文献:市史研究センタ-発行「THE・アビコ」〉


(太字引用者)

大阪府の地名としては、千葉県我孫子市ホームページの説に加えて、渡来人たちの自称が由来かもしれないという推測がされていますが、いずれにしても証拠はありません。
我孫子=あびこの由来 : すみよし探歩[archive]

この町名 (地名) の由来は、依羅吾彦 (よさみあびこ) が居住していたからといわれています。

依羅氏は百済 (くだら) 系渡来人の氏族で、住吉区庭井あたりに移住しその地を大依羅 (おおよさみ) 郷としました。庭井には大依羅神社があり、依羅吾彦はこの神社の祭人の子孫にあたります。「吾=ア」は「我=朝鮮語のア」から出たもので、「孫子=孫の子」は「隔子=彦」となり、その結果「吾彦=我孫子」となっていったといいます。

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